第229回 米S&P:オルトA住宅ローン証券を格下げか見直し-340億ドル規模
- 2008/05/29
- 08:31
昨日のNYは、予想より良い耐久消費財受注などを受けて緩やかな上昇、金融株の下落を相殺するか形で終わった。
米S&P:オルトA住宅ローン証券を格下げか見直し-340億ドル規模
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003002&sid=a_bJiE6UmpEI&refer=jp_bonds
5月28日(ブルームバーグ):米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は28日、ほぼ340億ドル(約3兆5600億円)相当のオルトA(プライムとサブプライムの中間)住宅ローン担保証券(RMBS)の格付けを引き下げたか、または引き下げ方向で見直していると発表した。S&Pによる同証券の格下げとしては過去最大規模。
S&Pが格下げしたのは、2007年上期(1-6月)に組成された計1326クラスのRMBSほかにも最上級「AAA」格付けとなっている同様の証券567 クラスを「クレジットウォッチ」に掲載した。
これにより、該当債権を持つ金融機関の評価損が拡大するものと考えられる。
また、一部低位債は新型証券融資の担保として、不適格となり、FRBから担保の差し替えを要求されることになるだろう。
S&Pなどに新規制、資産担保証券の格付けは他と区別を-IOSCO
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003015&sid=a31p_JvNB5EU&refer=jp_europe
5月28日(ブルームバーグ):証券監督者国際機構(IOSCO)は28日、ムーディーズ・インベスターズ・サービスやスタンダード・アンド・プアズ(S&P)など格付け会社に対し、資産担保証券と他の債務の格付けの区別を義務付ける新たな規制を打ち出した。
IOSCOが電子メールで公表した新規制概要によると、仕組み債商品を組成する際に格付け会社が仕組みの手法を助言することも禁止される。IOSCOはまた、格付け会社による格付け方法に関して独立機関による検証が必要だと勧告した。
IOSCOは同概要のなかで、格付け会社は「できれば異なる格付け記号を使用することにより、仕組み金融商品の格付けを他の格付けと区別する」必要があると指摘した。
ミッシェル・プラダIOSCO専門委員会議長(フランス金融市場庁議長)をはじめとする当局者はこれまで、サブプライム(信用力の低い個人向け)市場の混乱に端を発する3830億ドル(約40兆1192億円)以上に上る評価損や損失について、格付け会社が証券格付けにおいて及ぼした影響を厳しく批判している。
各所から格付け会社に対する不満が噴出している。現状、格付けに対する信頼は完全に失われつつある。また、これが債権市場の不信感を拡大させ、債権の流通、流動性に大きな障害となっていると見る向きも強い。
格付けと債券や株式などの価格の乖離は、価格の基準となる格付けという指標が信頼に値しないということを象徴しているものといえよう。
4月の米耐久財受注は‐0.5%、予想上回る
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnJT816752620080528
[ワシントン 28日 ロイター] 米商務省が28日発表した4月の耐久財新規受注
は非国防航空機の需要減を背景に前月比0.5%減少した。ただ、民間設備投資の目安と
なる航空機を除く非国防資本財が予想外の大幅増となった。
ロイターがまとめた新規受注のアナリスト予想は1.0%減だった。
指標が米経済の底堅さを示したことから、RBCキャピタルマーケッツの債券ストラテ
ジスト、TJマルタ氏は「米経済が本格的な景気後退に陥っていることを示すのは非常に
困難」と述べた。
輸送機を除く耐久財新規受注は2.5%増で前年7月以来の強い伸びとなった。アナリ
スト予想は0.5%減だった。
一方、輸送機器は8%減、非国防航空機・部品は24.4%減だった。
航空機除く非国防資本財は4.2%増で、前年12月以来の大幅増となった。アナ
リスト予想は0.5%減。
電気機器・製品は27.8%増で過去最高の伸びを記録した。
また、総出荷も1.2%増と、1月以来の強い伸びとなった。
予想外の耐久財受注指標を受けて、リセッションに対する観測が弱まり、FRBの利下げ観測が減退、年内の利上げ予測からドルが買われる動きとなった。このところのドル安のより輸出競争力が高まったということであろうか?
米ガソリン需要が前年比5.5%減、価格は最高値更新=マスターカード・アドバイザーズ
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnJT816772220080528
[ニューヨーク 28日 ロイター] マスターカード・アドバイザーズが28日発表したスペンディングパルスの週間報告によると、5月23日までの週の米ガソリン(小売り)需要は1日平均938万5000バレルとなり、前年同期比5.5%減少した。ただ、メモリアルデーの休日が寄与し前週比では2.7%増加した。
ガソリン需要の前年比減少は5週連続。
マスターカード・アドバイザーズのバイスプレジデント、マイケル・マクナマラ氏は、メモリアルデーの休日から夏の運転シーズンが始まるため「3連休の週末のガソリン需要増加は珍しくない」と指摘。ただ、前年水準は依然下回っているとし、今春はこれまでのところ季節的な増加がみられないと話した。
ガソリン需要の過去4週間移動平均は前年比6.3%減少した。減少は15週連続。年初からの需要も前年比1.7%減となった。
ガソリン平均小売価格は1ガロン=3.84ドルと、前週から0.08ドル上昇し、過去最高を更新した。
ガソリン価格の高騰により、人の移動が限定されてきている物と思われる。このような動きはサービス業を中心とした内需に中長期的な負の影響を与えると思われるが、それは表面化してきていない。
米チェーンストア週間売上高指数、前週比変わらず=ICSC・UBS
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnJT816736220080528
5月第3週の米大規模小売店売上高指数、前年比+1.7%=レッドブック
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnJT816741220080528
生活必需品の高騰が、売り上げ減少を相殺している部分もあるが、数字上は悪化しているという傾向が見えてきていない。
米MBA住宅ローン申請指数:4.6%低下の593.3-1カ月ぶり低水準
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003007&sid=a7bXQ43DAmIc&refer=jp_economies
5月28日(ブルームバーグ):全米抵当貸付銀行協会(MBA)が28日発表した23日までの1週間の住宅ローン申請指数(季節調整済み)は、前週比 4.6%低下の593.3と、1カ月ぶりの低水準となった。金利上昇を受けて、借り換えが減少したことを反映した。前週は7.8%低下の621.6だった。
MBAによれば、購入指数は0.1%上昇し352.7(前週は352.5)となった一方、借り換え指数は8.9%低下し2013.5となった。前週は2210.5。
グローバル・インサイト(マサチューセッツ州レキシントン)のチーフエコノミスト、ナリマン・ベーラベシュ氏は、「多くの住宅購入希望者がいるが、信用収縮に恐れをなして市場から遠ざかっている」と指摘した。
住宅ローン30年物固定金利は平均で5.96%と、前週の5.90%から上昇。また15年物固定金利は平均5.49%と、前週の5.42%を上回った。変動金利型住宅ローンの1年物金利は6.92%(前週は6.71%)だった。
金融機関の調達コスト上昇などもあり、利下げが住宅ローン市場に反映されていない状況。また、ここにきて利上げ観測が出てきたことで、更なる金利上昇も考えられる。住宅価格の下落が止まらない限り、金融機関の損失は拡大する一方となり、住宅価格を参照する派生商品の価格も下落する。日本のバブルを見てもわかるように、不動産に買い手が生まれない限り、金融機関の状況は追い込まれてゆくことになる。
米AIGの株価急落、増資の必要性指摘したシティのリポートを嫌気
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003003&sid=arIa.jRiRzi0&refer=jp_stocks
5月28日(ブルームバーグ):28日の米株式市場で保険最大手の米アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の株価が急落。シティグループのアナリスト、ジョシュア・シャンカー氏が27日付リポートで、AIGは先週発表した203億ドル(約2兆1220億円)の資本調達に加え、さらに増資が必要になる可能性があると指摘したことが嫌気された。
同氏によると、AIGは格付け会社に再び格下げされ、借り入れコストの上昇と収入減少に直面するよりは、50億-100億ドルの追加増資を模索する可能性がある。AIGが2008年1-3月(第1四半期)に 78億1000万ドルの損失を計上したことを受けて、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)とフィッチ・レーティングス、ムーディーズ・インベスターズ・サービスは今月、AIGを格下げした。
AIG株価のニューヨーク市場終値は前日比1.71ドル(4.7%)安の34.91ドルと、97年11月以来の安値を付けた。AIGの株価は年初来では40%下落と、ダウ工業株30種平均の構成銘柄中で最大の下げとなっている。
AIGの広報担当、クリス・ウィナンズ氏は追加増資の必要性を予想していないと述べたものの、シャンカー氏のリポートについてはコメントを避けた。
日本のメディアでは、ほとんど取り上げられないが、AIGのリスクは拡大方向に進んでいる。格下げによる調達コスト上昇と損失の拡大のバブルパンチを受けている形であり、急激な財務状況の悪化もありうると市場は判断している物と思われる。