特別企画!! 何故、世界中でクレジットクランチが発生しているのか?
- 2008/09/27
- 22:30
21日の日本経済新聞朝刊 よみごろBOOKナビで紹介されました。
http://www.yomigoro-booknavi.com/
ドル崩壊!
一部書店ではネットで在庫検索が可能です。是非、ご利用ください。
http://tech.openvista.jp/stock/
昨日、第3刷の印刷が決定しました。地方でも入手しやすくなると思います。
現在、リーマンショックから大規模なクレジットクランチが発生、市場は混乱し取り付け騒ぎが世界中で発生しています。個人の取り付け騒ぎと銀行間の取り付け騒ぎ、そして、株の投げ売りと混乱はとどまるところを知りません。また、その影響は欧州に波及し、ユーロ圏でも金融収縮が顕著化してきました。
まずは、表面的な事象からこのメカニズムを解析する必要があるでしょう。
何故、世界中でクレジットクランチが発生しているのか?
1,CDS問題
フレディ、ファニーの実質破綻により混乱に陥っていたCDS市場ですが、リーマン破綻とAIG問題の発生により完全に崩壊したと言って良いでしょう。CDSとは簡単に言えば破綻保険という商品です。もし、保険商品の引受先が破綻すれば、掛け金を払っていたとしても保険金は受け取れません。これではCDSを購入する意味がないということになります。CDSの購入側にとっても引き受け側にとっても大きな損失が発生することになります。
注*CDSはデリバティブ商品であり、元となる債権を保有する必要はありません。
CDSが事実上崩壊したことで、保険を失うことになりますから、ハイリスク債権の引き受ける投資家がいなくなりました。
2,取り付け騒ぎの恐怖
危機が囁かれる銀行に取り付け騒ぎが発生しています。取り付け騒ぎが発生した場合、急激な資本流出が発生し、銀行は膨大な現金を必要とすることになります。これに対処するためには、流動性資金を数多く保有する必要があり、現金や換金性の高い商品以外は怖くてもてないことになります。また、銀行間市場においても、相互不信から資金を出すリスクが高まり、これが抑制されることになります。
3,FRBの窓口融資枠
FRBはこのような事態に対処するため、それぞれの銀行に対して窓口での緊急融資枠を設けています。しかし、多くの銀行では、サブプライム問題と金融収縮に対処するために、すでにそれを使用しており、限度額が多く残っておりません。また、金融機関はそれぞれの信用内容を熟知している。
4,MMFへの政府保証
FRBは、金融危機に対処するためMMFに対して政府保証を付けました。これによりペイオフを超える資金が預金を離れ、より安全なMMFへと資金移動をしています。これにより銀行は自由に使える資金を失い、解約に伴う資金を確保する必要に迫られています。
5,FRB資産劣化による救済余力の低下
FRBはサブプライム問題で危機に陥った金融機関を救う為、新型証券融資など金融セクターが保有する債権を担保にして、融資を続けてきました。これによりFRB自体の資産内容に含み損が生じており、その流動性に対しても大きな疑念が生じています。このような状態ではこれ以上の融資の拡大は困難と見られており、これがドルへの信頼と救済余力に疑念を抱かせる結果となっています。
6,リーマンショックによる日本の投資家の外資不信
これまで日本の投資家の多くは外資に対する安全神話を信じてきました。ところがリーマン破綻AIGの実質破綻によりこの神話はもろくも崩れ去りました。保険会社というのは最大のリスクの引き受け手であり、長期資金の供給先でありました。また、個人や企業などが外資系企業が発行するサムライ債などを引き受けることで円キャリーを促進してきました。今回の問題で長期資金の供給が止まり、一部では回収が始まっています。これにより円キャリーにより支えられてきた海外の金融セクターは膨大なリスクを抱えたことになります。
1-6までの事象が複雑に絡み合いながら、負のスパイラルを引き起こし、更なる危機的状況を呼び込んでいると私は考えます。