第360回 ダウ大暴落!! 下院議会が金融安定策を否決
- 2008/09/30
- 06:23
21日の日本経済新聞朝刊 よみごろBOOKナビで紹介されました。
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ドル崩壊!
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米金融安定化法案:下院が否決、政府の危機対策に打撃-株価急落
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=aKq9Wzlkg2qk
9月29日(ブルームバーグ):米下院は29日、金融安定化法案を賛成 205票、反対228票で否決した。同法案は金融システムの信頼回復に向け、政府が金融機関から7000億ドルの不良資産を買い取ることなどが柱だったが、今回の否決は信用危機を封じ込めようとする政府には大きな打撃となった。
株式市場ではダウ工業株30種平均が急落、ニューヨーク時間午後2時32 分現在では554ドル安で推移している。
マイク・ペンス下院議員(共和党、インディアナ州)は、「金融安定化法案は米国の国民が拒否した。議会も同じことをしたまでだ」と述べた。
同法案は、不良債権問題を抱える金融機関から資産を買い取る権限をポールソン財務長官に付与するものだった。
下院金融サービス委員会のバーニー・フランク委員長は法案否決に「深い失望」を表明、「共和党が法案を抹殺した」と批判した。
ホワイトハウスのフラット報道官は、ブッシュ大統領は「次の一手を決定すべく」議会首脳らと協議する意向だと述べた。大統領はこの日の下院採決を控え、自ら法案可決に向けて議員らに働きかけていた。
フラット報道官は、「結果については当然、深く失望している。今、米国が直面している困難な危機に対して、何らかの対処が必要なことに疑問の余地はない」と述べた。
バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、法案が否決されるようなことになれば金融システムに「深刻な脅威」が及ぶと警告していた。
反対者は同法案について、リスクとコストが高すぎると批判していた。ジェブ・ヘンサーリング下院議員(共和党、テキサス州)は「金融安定化策が最終的に機能しないことを懸念している」と主張。同法案は米国を「社会主義に陥れるものだ」と非難した。
私は昨日のエントリーで、米国は自由主義を放棄したと書いたが、それは間違いであったようだ。
議会はこの金融安定策を否定した。今回の決定により、米国そのものの財政負担は緩和されることになるが、現在の金融システムに対する負担は非常に大きな物となる。世界からの米国金融機関を見る目は厳しい物となり、すでに危機的状況に陥っている金融機関は破綻に陥る可能性が高くなった。これにより、銀行間の資金調達は困難を極める物となり、期末を迎え、資金シュートによるデフォルトリスクは急激に高まることになる。
今回の否決の背景にはいろいろな思惑があるだろうが、最大の特徴は、ポールソン長官とゴールドマンサックスによる顧問団への事実上の不信任にあると思われる。また、米国民の金融機関に対する不満は、日ごとに多きなものとなっており、議会は金融セクターに対する制裁を選んだと見る向きもある。
世界の株式相場、アジア危機以来の大幅安-金融機関救済で国債買い
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=ajcCSGEuqFnA
9月29日(ブルームバーグ):世界の株式相場はアジア危機に見舞われていた1997年10月以来の大幅安となった。政府による銀行救済が相次ぐ中、外国為替市場ではユーロとポンドが下落。一方、国債相場が上昇した。
ワコビアがシティグループへの銀行事業売却を余儀なくされ、S&P 500種株価指数は3.5%下落した。7000億ドル相当の米金融安定化法案の採決では賛否が拮抗しているとみられていることも悪材料。
ポンドはドルに対して15年ぶりの大幅安となった。欧州の政府が英銀ブラッドフォード・アンド・ビングレー(B&B)やベルギー・オランダ系金融サービス大手フォルティス、ドイツのヒポ・レアルエステート・ホールディングの救済に動いたことが背景。商品相場も安い。
銀行の資金抱え込みの傾向が高まり、3カ月物ユーロ建てEURIBOR(欧州銀行間出し手金利)は過去最高に上昇した。
ヘイバーフォード・トラストの調査ディレクター、ジェーソン・プライド氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「この信用危機は非常に深く、金融業界全体にわたっている」と述べた。
MSCI世界指数(対象48カ国)は一時4.4%安と、アジア危機以来のきつい下げとなった。
今回の議会の決定により、米国財務省債権など米国の保証する債権に関しては良いが、GSE債や銀行債など非保証の一般債権の価格は大きく下落する物と考えられる。本日、3Qの決算期末を迎えることになるが、銀行などの債権がらみの損失が非常に大きな物となる可能性も高い。また、数多くの債権が流動性を失うことになると考えられ、これによる資金ショートも懸念されるわけである。
FRB、ドル資金供給の規模を拡大-6300億ドル追加へ
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=anwGJZ1146iI
9月29日(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)は29 日、金融危機緩和のためにさらに6300億ドル(約66兆2600億円)の資金を金融市場に供給する対応策を発表した。
具体的には日銀や欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(BOE)など主要中央銀行9行との通貨スワップ協定を通して実施する金融市場へのドル資金供給の規模を6200億ドルと、従来の2900億ドルから3300億ドル拡大したほか、ターム・オークション・ファシリティー(TAF)による資金供給を3000億ドル拡大し、4500億ドルとした。
住宅ローン危機のあおりで金融機関が資金を出し渋るなか、短期金融市場の資金逼迫(ひっぱく)が続いている。
FRBは「大量のターム物資金を供給する措置は、優良な担保に対しては十分な資金があると金融市場参加者を安心させ、資金確保と借り換えに関する懸念を緩和するのに役立つ」と解説している。
イングランド銀とECBはドル・スワップ取り決めの引き出し限度額を2倍に引き上げる。スイス国民銀行(SNB)と日銀も同限度額を2倍に引き上げる。このほか、オーストラリア準備銀行、ノルウェー銀行、スウェーデン中央銀行、デンマーク国民銀行およびカナダ銀行は3倍に引き上げ。中銀10行はいずれも米資金供給オペの期限を来年4月末まで延長することを決定した。
FRBはまた、期間84日間のTAFによる資金供給を2250億ドルに拡大した。
FRBと世界の主要9行の中央銀行は、ドル需要に備え大規模な資金供給を予定しているが、問題の本質は、銀行間の不信と生き残りをかけた自己資本の確保にあり、中央銀行による資金供給だけでは間に合わないだろう。また、この中央銀行が支配する国と地域以外の銀行のドル資金調達は困難な物となると想定され、すでに信用不安が発生している国やドル建ての銀行間金利が上昇している国はより一層の金融パニックに陥る可能性が高い。
米フレディマックとファニーメイに連邦大陪審が召喚状、会計めぐり
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=afTyKhTaJV28
9月29日(ブルームバーグ):米住宅金融のフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)とファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)は29日、連邦大陪審が両社に対し、会計手法や情報開示、企業統治に関する文書について召喚状を発行したことを明らかにした。
両社は26日にニューヨーク南部地区検察局と米証券取引委員会(SEC)が文書を求めていることを通知されたとそれぞれ発表した。ただ、具体的に求められている情報については両社、当局側も言及していない。
サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローンの崩壊に絡み、米連邦捜査局(FBI)は両社を含む26社を不正会計の疑いで捜査している。捜査当局幹部が23日、匿名を条件に明らかにしていた。
サブプライム問題が大きな疑獄に発展する可能性が高まっている。これに関わった住宅ローン会社、銀行や証券会社、格付け機関などが厳しく処罰される可能性が高まっている。また、監督責任のあるFRBや金融当局にも責任を巡る議論が巻き起こる可能性が高い。
米国は、非常に大きな選択をしたと言えよう。